こちらのページでは、シク教の間で使用される言語「パンジャービ語」とそれを文字で表した「グルムキー文字」について説明したいと思います。
英語では「Punjabi」と表記されますが、日本語の場合は、言語学者や翻訳者のニュアンスの違いがあり、「パンジャブ語」、「パンジャーブ語」、「パンジャビ語」、「パンジャービー語」と言った呼び方があります。
ここでは『パンジャービ語』の表記で統一します。
パンジャービ語とは
「パンジャービ語」とは、主にパンジャーブ地方、パンジャーブ人の間で使用される言語です。
この言語を話す人は、インド・パンジャーブ州、パキスタン・パンジャーブ州に住むシク教徒やイスラム教徒、ヒンドゥー教徒などを含め、全世界に約1億2000万人以上いると言われています。
また、パンジャービ語はインド・パンジャーブ州の公用語です。
パンジャーブ人がたくさん暮らしている海外の国では、一部の標識が特別にパンジャービ語で書かれています。
パンジャーブ地方は元々一つの地域だったのですが、1947年にインドとパキスタンが分離独立した際に、パンジャーブ地方も分割されました。
分離独立当時、シク教徒やヒンドゥー教徒はインド側に移住し、イスラム教徒はパキスタン側に移住しました。
その影響で、インドとパキスタンで書かれる「パンジャービ語」の文字が異なります。
インド側は「グルムキー文字」が使用され、パキスタン側では「シャームキー文字」が使用されています。
グルムキー文字は英語や日本語と同様に左から右に書かれ、シャームキー文字はアラビア語と同様に右から左へ書きます。
上が「シャームキー文字」
下が「グルムキー文字」
両方の文字で『パンジャービ』と書かれています。
グルムキー文字について
大多数のシク教徒が暮らしているインド・パンジャーブ州では主にグルムキー文字が使用されます。
グルムキー文字の歴史
一体、グルムキー文字はどのようにして誕生したのでしょうか?
グルムキー文字は、16世紀にシク教の2代目グル「グル・アンガド(1504~1552)」という人物が開発したといわれています。
グルムキー文字の『グルムキー』は、「グルの口から出た言葉」という意味があります。
グルムキー文字の由来
グルムキー文字の由来ですが、「ブラーフミー文字」、「シャーラダー文字」、「グプタ文字」といった様々な古代インド文字が組み合わさって出来たと言われています。
古代インド文字の中でも「ランダー文字」と「タークリー文字」が最も深い関わりを持ちます。
グルムキー文字の書き方
ここでパンジャービ語(グルムキー文字)のサンプルテキストを書きたいと思います。
ਮੈਂ ਸੇਬ ਖਾਧਾ। 『メー セーブ カーダ(私はリンゴを食べた)』
グルムキー文字は日本語と同様で、左から右に書きます。語順はSOV型といわれ、これも日本語と同じです。
グルムキー文字は、35個の母音と10個の子音を組み合わせて書きます。
まとめ
- パンジャービ語は主にパンジャーブ地方とパンジャーブ人の間で使われる言語
- パンジャービ語には2つの表記方法があり、「グルムキー文字」と「シャームキー文字」がある。
- グルムキー文字は主にインド・パンジャーブ州で使用され、シャームキー文字はパキスタン・パンジャーブ州で使用される。
- グルムキー文字はシク教の2代目グル「グル・アンガド」が開発した。
- グルムキー文字は左から右に書かれ、シャームキー文字は右から左に書かれる。