上の写真をご覧下さい。
様々な人が床に座って食事を取っています。このような光景をこれまで見たことがありますか?
この光景はシク教寺院にて良く見られるものです。
実は『ランガル』というシク教の独特な慣習は、なんと500年以上前から続いています。
ランガル(共同食堂)とは?
こちらのページではシク教の中で重要な慣習・文化の一つである【ランガル】について解説していきたいと思います。
ランガルの意味

日本語でいう炊き出しに近いね

ランガルは無料かつおかわりも自由なんだって
ランガルの歴史
ランガルのコンセプト
ランガルが本格的に慣習として成り立つ前に、始まりとなったエピソードがあります。
それは、初代グル「グル・ナーナク」が父親から商売を始めるためのお金を渡されます。
その後、別の町へ移動している途中にいたヒンドゥー教僧侶(サードゥー)にその渡されたお金を使って料理を振る舞ったことがランガルの始まりだと言われています。

ランガルの本格的な採用
ランガルという食事を誰にも無料で振る舞うシステムが本格的に採用されたのは3代目グル「グル・アマル・ダース」の時代です。
この頃にやっとシク教の慣習として、伝統として【ランガル】が始まりました。
実は当時に重要人物がランガルを食べに訪れた逸話があります。それはかつてのムガル帝国のアクバル皇帝です。
他の宗教に寛容な姿勢を見せるアクバル皇帝はグル・アマル・ダースの所へに会いに行きます。現地へ到着した後、最初は会ってお話をしようとしたらグルは、
「最初にパンガト(人々と共に床に座る列のこと)で食事をとり、その後私に会いに来なさい。」とアクバル皇帝に言いました。
その後アクバル皇帝は、最初に他の一般庶民と共に床に座って食事をしてからグルに会ったと言われています。
どれほど社会的に地位が高いだろうと、パンガトで食事を食べる際には誰が上か下か関係無く、人々は平等であるというメッセージがランガルには込められています。

ランガルに出されるメニューって何だろう?
気になるメニューですが…
どなたでも食べやすいよう、全てベジタリアンメニューになっています。

ランガルのメニューは日によって変わります。
何種類ものカレーを組み合わせたメニューもあれば、スイーツがたくさん出るメニューなど、季節やシク教の特別イベントの日程に合わせてメニューが決められ、皆さんに料理を提供します。
ランガルにおける役割分担
ランガルでの役割分担は大きく分けて4つあります。
どの役割も大半はボランティアでやっています。シク教以外の人でもランガルボランティアに参加することができ、一緒に材料を切ったり、食事を配ったり、食器洗い等を手伝うことが出来ます。
食材の確保・食材を切る

まずは食材の確保をします。
ランガルでは多くの方々が食事をされることを想定しているので、たくさんの量の食材やスパイス、その他の材料が必要です。
次に食材を一つ一つ皮をむいたり、切ります。量が多い分、ボランティアもたくさん参加します。
調理をする
食材を切り終えた後にきっちりと水で食材を洗い、調理へ進みます。
使われる容器や調理器具は大きいですね。
調理をするボランティアは慎重にそれぞれのメニューを作っていきます。


ランガルのメニューで欠かせない「チャパティ」はたくさんのボランティアで調理します。
大きい寺院では手作業で追いつけないので、チャパティの自動製造機があります。

料理を振る舞う
食事をされる方々はまず、床に敷かれているシートの上に座って待ちます。
その後、ボランティア達がテキパキと食器を配膳し、次から次へと料理が配っていきます。
無料なのはもちろん、おかわりも自由ですので、お腹がいっぱいになるまで食べられます😊
食器洗い・片付け
食事を終えたら、食器洗いされている所まで自分で持っていくか、ボランティアが回収しに行きます。
使い捨て食器では無いので、その都度丁寧に洗って、乾燥し、次の人の食事に使われていきます。
まとめ
- 【ランガル】はシク教の中で「共同食堂・無料食堂」という意味
- 【ランガル】は無料かつおかわり自由!!
- 【ランガル】は500年以上も前から続いている習わし、慣習である
- メニューは基本的にベジタリアンメニュー
- たくさんのボランティアからランガルは成り立っている